top of page
  • 執筆者の写真OTO工房

ドイツ製カメラ&ドイツ製ピアノよもやま話

更新日:2018年11月10日

子曰く ドイツ製のピアノは古ければ古いほどいい

これは私の調律の師匠であるT先生の口癖の一つであった。



先生はその昔、数多の欧州製ピアノをオーバーホールする機会に恵まれた。 中でもドイツのベルリンで造られた古いピアノは別格であった、と熱く申しておられた。 使われている材料の秀逸さ、楽器全体の完成度の高さ、オーバーホール後に発揮する楽器のポテンシャルの高さに舌を巻いた、と熱くおっしゃっていた。 先生の熱いお話を聞き、私には思い当たる節があった。カメラについての話です。

今から約25年ほど前、1960年代に作られたドイツ製の「ローライフレックス」 という二眼レフカメラに初めて触れた時の衝撃ったらあなた。。 そのコピー機とされていた日本製の二眼レフカメラとの差はあまりにも歴然であった。 そのかけ離れた精度の違いといったらあなた。。 このカメラを作った職人たちの息遣いを感じる、とでも言いましょうか。 機械的な精度だけでなくレンズの描写力の凄まじさといったらあなた。。 ローライで撮った写真の仕上がりは、その場の「空気や匂い」までもが写るようだった。 とにかくそのカメラ職人魂の迫力に圧倒されたものでした (゚Д゚;)ススゲェ..

先日、私にも古いベルリン製のアップライトピアノを調律する機会に恵まれた。 ピアノには Schröther とあった。聞いたことがないメーカー名であった。調べても細かい詳細が見当たらない。シュロッサー  シュロサー と発音するようだ。 手がかりが一つだけあった。そこには、、

生産は1914年に始まり、1930年に終了した、とだけ記されていたのだ。。

なんと16年しか歴史がないピアノ製造メーカーだったのだ! このピアノが製造されたのは、どんなに若く見積もっても 1930年の昭和5年であり、それは今から88年前であるということだ。

たった16年の歴史しかないドイツピアノメーカーが造るピアノはだがしかし! 本当に素晴らしい楽器だったのである。。 ピアノの保存状態がとてもよかったというのも大きかった。 熱いT先生がお話されていた事と、かつて手にしたドイツ製カメラの衝撃とが繋がった瞬間であった。

国産ピアノではあまり見ることのない、 ピアノの鉄骨デザインに存在するきれいな「V」の空間が、 16年の間に命を懸けたピアノ職人達の「victory(勝利)」を見せつけられている思いであった。

そして、最後に今思うことはただ一つ...

俺の指短っ!(・:゚д゚:・)

ということである ✌

いつもご精読ありがとうございますm(__)m


閲覧数:27回0件のコメント
bottom of page