この本を読むと、「破天荒」という言葉の本当の意味を知ることになります。
世界を舞台に活躍する五嶋みどりさん、五嶋龍さんという二人のヴァイオリニストが世に出るまで育て上げた母親、五嶋節という一人の人間の生き方です。 信じる、流されない、動く、大切にするということが、いかに偉大なことかを突きつけられます。 現在小さな音楽家の卵を持つ親や、将来それを目指そうとする人たちに多く読まれているのではないでしょうか。 五嶋家がなし得たことというのが、後の日本音楽界にとってどれだけ大きなことだったのか、ということがはっきり分かります。
一人の演奏家や家族が大きな仕事を成し得る為の努力と共に、一人の作家が一つの大仕事を成し得るための努力もまた、途方もなく長い道のりであることもこの本は教えてくれました。
著者である奥田昭則さんの徹底した取材力、書き手としての信念や力量が、この本の成功に導いていることは間違いないであろうと、私は思います。
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