top of page
  • 執筆者の写真OTO工房

秋の倜長に..  「調埋垫」 著 熊谷達也

曎新日2018幎11月18日


音の銙りずは

以前偶然本屋で芋かけ「調埋垫」ずいう小説ずしおは珍しいタむトルず 音を銙りずしお感じる身䜓 ずいう垯の文字に興味を惹かれお思わず賌入。

䞀人の元ピアニストである調埋垫を䞭心に話が広がっおいきたす。 興味深いのは、登堎する調埋垫が「共感芚きょうかんかく」ずいう実際に存圚する

䞀郚の人間にしか感じられない特殊な感芚の持ち䞻であるこずで、

そのこずを軞に話が展開されおいく点です。




䞻人公である圌の堎合は、生ピアノの音電子ピアノ音では感じないを聎くず、比喩的にではなく、実際に匂い銙りずしおその音を感じるずいうもの。 私はこの本を読むたでは「共感芚」ずいう存圚すら知りたせんでした。 医孊的には病気ずしおではなく、むしろ胜力的な解釈のようです。

私の調埋の垫匠は、ピアノの音をやはりよく銙りに䟋えおお話をされたす。 でもそれは 「いい銙りがするだろう」ずか、 「トむレの芳銙剀の匂いみたいで駄目だな」ずいったように、 あくたで比喩的におっしゃっおおりたした。 先生のように音を「銙りずしお捉える」感芚自䜓は、 調埋垫ずしおずおも理解できるずころです。 ただ物理的に音を銙りずしお感じるのだずしたら、 その調埋垫は実際にはどのように仕事を行っおいくのだろうず、 職業柄か真剣に考えたりしおしたいたす。 そんな話は未だか぀お聞いたこずありたせんので。

本に登堎する調埋垫が感じる音の皮類は思わず笑っおしたうほど具䜓的です。䟋えば、、ペヌドチンキ、残飯、皲藁、麊芜、柚子ずいった具合です。 もし自分にそんな胜力があったら楜しくお仕方無いだろうし、 逆に’異臭’が気になっお、ある意味䞍快なのかなずも思いたす。 でも䞀床ピアノの音で匂いを䜓隓しおみたいものです。 なぜなら、いい音がどんな銙りがするのかを是非感じおみたいからです。 珠玉のピアノから出る本圓にいい音を芳醇な銙りずしお聎くこずがもしできるずしたら、きっず自分は気絶しおしたうのではないでしょうか。

転調ずいう遞択

党話䞭最埌の話は、東日本倧震灜ず絡めた内容に倧きく転調されたす。 執筆䞭に震灜が起こり、著者が仙台垂出身者珟圚䜏であり、 震灜で甚倧な被害を受けたあの気仙沌垂内の䞭孊校で教垫をしおいた経隓があるずいうこずで、䞀人の人間ずしおどうしおも曞かないわけにはいかなかった、ずいうような内容の説明があずがきにありたした。 あの倧震灜を経隓するこずによっお、すべおがリセットされおしたい、 元の自分には戻れなくなっおしたったず、圓時の心情を吐露されおいたす。 小説を䞀぀の䜜品ずしお考えた堎合、これには賛吊䞡論あるず思いたす。 結果的に䜜品党䜓の色がはっきりしない終わり方になっおしたった感は正盎あるかもしれたせんが、これは読む方それぞれの感じ方ですので、興味を持たれた方は是非手に取っお読んでみおください。

私個人ずしおは、著者がなぜ調埋垫ずいう裏方職業を題材に遞んだのかを知りたく、圓然最埌に著者から䜕か語られるのかず思っおいたのですが、その件に぀いおは「共感芚」同様䞀切觊れられおおらず、それは少々意倖な感じがしたした。

閲芧数8回0件のコメント
bottom of page